プロフィール 

 

 

飯原 瑛梨(イイハラ エリ)さん

・北海道砂川市出身、北海道滝川高等学校卒業
・2014 年 弘前大学理工学部物質創成化学科卒業
・2016 年 弘前大学大学院 理工学研究科 理工学専攻物質創成化学コース 博士前期課程修了
・2016 年 株式会社東光高岳 入社
・2020 年~ 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に出向   

 

大学院では岡崎雅明先生の有機金属化学研究室で研究し、部活動は弓道部に所属。就職後は電力プラント事業を進める部署で固体絶縁開閉装置の設計を経て、現在は出向先で電力系統に関連する、研究開発事業を担当している。

 

 

使えなくなると影響が大きい存在、“縁の下の力持ちの仕事”

 

Q.勤務先の概要と、ご自身の現在の主な仕事内容を教えてください。


A.東光高岳は、電力ネットワークをトータルにカバーできる事業を展開しています。電力を「作る」「送る」「使う」のそれぞれの分野において使用する電気機器やサービスの提供を行なっています。普段意識はしないと思いますが、皆さんがご自宅等で使用している電気は、弊社の製品やサービスが少なからず活躍した結果、届いているのかもしれません。そんな東光高岳での主な仕事は、開閉装置の機械機構・電気回路など全体の設計を行い、部品の手配・調整、お客様への仕様説明などでした。


(開閉装置とは、電気を送る際に必要となる装置のことです。電気は、電力輸送時の効率を考え、高い電圧で送電され、各家庭などの消費地で使用できる安全な低い電圧まで、段階的に下げる過程があります。その電圧を下げる場所として変電所があり、開閉装置は主にこの変電所に設置されます。)


現在は、出向先である NEDO で電力系統に関連する研究開発を実用化まで導くマネジメント業務に従事しています。研究開発を実施いただく、企業・大学等との調整が主な仕事内容です。

 

Q.出向先で今までの設計の経験が活かされていると感じることはありますか。


A.設計をする際に必要な基本的な知識は現在の仕事でも活かされていると思います。現在の業務で扱う内容は電力システム全体に関する事が多く、開閉装置の設計をしていた時はある変電所の一部の設備を見ていました。マクロな電力システムとミクロな一部の設備では考えなければいけない点が全く異なります。共通しているのは電気に関連していることくらいでしょうか。そのため、電気の基本的な知識など、共通する技術的な下地部分についてはとても活きていると思います。マクロとミクロの世界で内容が全く違うにしろ、手も足も出ないという事がほとんど無いからです。

 

出向先でのお仕事風景(現在はコロナのため在宅ワークになっています。)


Q.この職業を目指したのは、なぜですか。

A.生活への影響が大きく、縁の下の力持ちの仕事がしたいと考えたためです。電気という、ある事が当たり前で、使えなくなると影響が大きい存在を、陰ながら支えたいと思ったのが志望のきっかけでした。

 

 

何事にも一呼吸置くことの大切さ

 

Q.仕事をしていく上で、心掛けていることはありますか。また、楽しさややりがいを感じるのは、どんな時ですか。

 

A.心がけていることは、何事にも一呼吸置くことです。急ぎの案件こそ徹底しています。急ぎの場合、準備ができたらすぐ回答したくなりますよね。ただ、急いで資料作成していると、思わぬミスをする事があります。一呼吸おいて内容確認をする事で、回答に時間はかかりますが、ミスを見つけることができます。仕事の出戻りも少なくなり、良い方向に作用することが経験上も多かったです。

元々、心配性なことと、高校時代の失敗(高校生の時に、発表会で説明者であるにも関わらず、まったく準備をしないで挑んだことがあります。今思うとなぜなにも準備しなかったのか、不思議でならないのですが、案の定、旨く言葉が出てこず、発表時間ほぼすべて棒立ちでした。)もあり、しつこいくらいに準備・確認をするたちではありますが、一呼吸おくことは、会社の上司から学びました。その方はとても念入りに確認される方で、『急ぎや煮詰まった時こそ時間をおく』と仰っていたので、その教えが活きていると思います。


やりがいを感じたのは、自分が設計したものが、製品として変電所等で使用されている様子を見たときですね。特に、元々の大学の専攻は化学だったため、電気や機械に関する事はイチから会社で教えていただきました。勉強と並行しながらOJT で仕事を教わり、業務を担当していたので、時にはお客様の質問に答えられず悔しい思いもしていました。そのため、客先で設計した製品が動いているという事だけで、喜びはひとしおでしたね。

Q.将来の展望や、やりたいことについてはいかがですか。


A. いつか、100 年先も残るようなモノ作りをしたいです。縁の下の力持ちに憧れているので、名前を残したいわけではないのですが(できればひっそりしていたい。)、自分が関わった製品や仕組みなどが、社会に100年先も残るような仕事ができればいいなと思っています。

小さな夢としては、おばあちゃんになったときにひ孫などに、こっそり、「あの物づくりでおばあちゃんが活躍したんだよ。」と教えたいです。そのためにも、今は研鑽を積む時期だと思っていますので、目の前の仕事に全力投球しています。


Q.学生時代に印象に残っていることや、力になったことがあったら教えてください。


A.寮生としての共同生活や、新しく弓道を始めたこと、大学生協のサリジェでアルバイトをしたことなど、印象に残っていることは多いです。

中でも大学4年生から修士卒業まで3年間所属した、研究室での活動は印象深く、特に現在の仕事でも力になっていると思います。研究室での日々の相談や、定例の報告会でのプレゼンなどは、現在の仕事と通ずるものがあり、研究室の活動で下地ができたのかなと思います。また、単純に楽しかった研究室の思い出としては、昼間からさくら祭りに出かけて、花見をしながら出店を巡り、日が落ちるまでトランプで遊んだことですね。よい思い出が多いせいか、首都圏に住む今でも、弘前のさくら祭りの時期は行きたくなります。

 


研究室のメンバーと行った花見

 

 

広い視野を持って色々なことに挑戦

 

Q.学生時代に現在の仕事に繋がるような活動をしましたか。また、特に首都圏での就職を希望する場合、学生時代にやっておいた方が良いことはありますか。

A.直接的に繋がるような活動はしていなかったと思います。やっておいた方が良いことのアドバイスとしては、仕事・プライベート共に選択肢をたくさん持てるように、世界を広げてみることです。私自身も、『どんな経験も今後生きる上で、何らかの形で役に立つ!』と、思いながらいろいろと興味があることに挑戦していました。

他県での就職は生活の基盤が移動するので、たとえば、趣味に没頭できる環境があるか、行ってみたい場所や、首都圏だから簡単にできることはないかなど、プライベートの楽しみを首都圏でみつけられるかも大事なポイントだと思います。仕事のやりたいことだけでなく、広くプライベートも考えてみてください。ちなみに私の首都圏就職の楽しみは、大学時代仲良くさせていただいていた先輩や同期が首都圏で就職しているので、気軽に会えることです。


Q.就職に関する情報の入手や、インターンシップの活用は、どのようにしたらよいでしょうか。


A.世間一般に言われている就職支援サイトの活用程度しかしていませんでした。ちなみに、東光高岳には就職支援サイトで登録したエージェントから「あなたにあう企業」ということで紹介されエントリーしました。エージェントには、初めから首都圏を希望していることは伝えていました。なお、当時はあまり主流でなかったこともあり、インターシップは活用していません。

 

Q. 弘前大学のような地方大学生として、首都圏での就職活動でどのようにアピールしましたか。


A. フットワークの軽さをアピールしていました。地元は北海道、大学は青森、就職活動をしていたのは東京や千葉、神奈川だったので、面接時に、『地元北海道で、大学青森!?よくきたね!なんでうちを見つけたの?』と、聞かれることもありました。面接官によっては経歴だけで印象に残った方もいるかもしれません。その点は、地方からの就活の利点だと思います。また、全国に事業所がある企業での面接では異動転勤は職種によってはつきものだと思い、大学の時に青森に出てきて、就職で首都圏を狙っている状態だったので、『全国どこでも転勤は大丈夫』であることも伝えていました。

 

 

首都圏への就職は、大学院へ進学したことで開けた道

 

Q.最初から就職先を首都圏にしていくことで周囲からアドバイスはありましたか。


A. はい、アドバイスを沢⼭頂きました。⼤学院で⼀緒に学んでいた先輩や同期の多くが⾸都圏で就職または就職活動をしていたので、ノウハウ的な部分を情報交換したりしていました。希望する職種や業種において、選択肢の多い首都圏で就職活動をしていましたが、就職すると、地元の北海道からも離れ、弘前⼤学で6年間過ごした⻘森からも離れることになります。やはり、慣れ親しんだ場所から、⾸都圏に就職することは寂しく、悩んだ時期もありました。ですが、近しい先輩が先⽴って⾸都圏で就職していたこと、同じ研究室や学科の仲間が同じタイミングで⾸都圏への就職を考え、活動していたことは、私の就職活動の後押しになりました。もし、研究室配属後に良い関係を築けず、⾸都圏の就活のノウハウや情報などがない状態で、1⼈で就活する事になっていたら、⾝近な東北や北海道で就職していたかもしれません。


Q. 首都圏に就職して、良かったことはどのようなことでしょうか。


A. 交通の便が良いこと、すぐにものが手に入る事ですね。いろいろなところに、すぐに旅行も行けます。コロナ禍になってからは行けてませんが、週末に近隣の温泉地を巡ったり、長期休暇は飛行機で少し遠出したりと、首都圏に就職してから旅行が趣味になりました。 また、個人的に日常で嬉しいことは、『本が発売日どおりに出る』ことです。

 

休日友人と伊香保へ旅行

 

 

 

在学生の皆さんへ

 

大学生活で経験したことは、考え方次第でどんなことも生活に活きてくると思います。悔いの残らないよう、少しでも興味があるものについては、どんなことでも挑戦してみてください。大学時代だから挑戦しやすいことも中にはあると思います。
また、目の前の就職活動だけを見るのではなく、その先の生活(仕事・プライベート)も見据えて、選択肢を広げるためにいろいろな経験を積んでいただければと思います。本記事を読んで、首都圏にも興味を持って頂き、少しでも検討のお役に立つことができれば大変幸いです。

 

(2021年8月取材)

 

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