プロフィール 

 

下山 正義(シモヤマ マサヨシ)さん

・宮城県仙台市出身、東北学院高等学校卒業

・2004年 弘前大学農学生命科学部応用生命工学科卒業

・2005年 ディーコープ株式会社に入社

・2014年 アドバンテージ・パートナーズ株式会社を設立

 

学生時代は分子生物学の研究室で学び、オールスターテニスクラブ(サークル)に所属していた。大学卒業後はアメリカで1年間英語とビジネスを学び、帰国後は間接材調達コンサルティングの営業職を経て、会社を設立、代表取締役を務める。

 

 

コストの削減・最適化をサポートする会社を経営

 

Q.会社の概要と、ご自身の現在の主な仕事内容を教えてください。

A.間接材調達を中心としたオペレーション改善コンサルティングを事業とする「アドバンテージ・パートナーズ株式会社」を経営しています。私はお客様のコンサルティング活動及び会社経営、人材開発を主軸に仕事を行っています。

 

Q.間接材とは何ですか? 事業内容について詳しく教えてください。

A.資材(材料費)のうち、原材料のことを「直接材」といいます。それに対し、清掃やビルメンテナンス・電気・備品等、経費の領域は「間接材」といいます。主な事業内容は、顧客の間接材調達、つまり経費の調達で、経費をいかに最適に購買してコスト削減に繋げるかを中心としたコンサルティング活動です。顧客の業種は製造業や学校・病院等、多岐にわたります。

 

Q.コロナ禍で働き方に影響はありましたか。

A.2020年2月から社員は在宅勤務としましたが、私は家庭に居場所がないので(笑)、出社していました。コンサルティング業務は、お客様とコミュニケーションしないと進みません。2020年4月からの緊急事態宣言の頃は、仕事が全て止まりました。ただ、現在はすごい勢いで顧客が増えています。多くの企業で収益が悪化し、少しでも経費を下げたいといった事情があるようです。

 

 

退路を断ったアメリカ生活

 

Q.最初からこの職業を目指していたのですか。

A.当初は研究者になろうと、最も厳しい(!?)と言われていた武藤研究室を志望しました。当時、武藤先生に言われた「若いうちの苦労は買ってでもせい!」は、いまだに私の価値基準のひとつとして残っています。

しかし、次第に研究者への道よりもそれを活用する方法に興味が移りました。研究をビジネスに繋げることはできないか、と思っていたところ、MOT(技術経営)のことを知り、漠然とMOTの勉強をしようと考えるようになりました。調べてみると、当時、国内では東京大学ぐらいしか勉強できる場所がありませんでしたが、アメリカでなら勉強できるらしいことがわかりました。大学入学前から留学をしたいと思っていたこともあり、卒業後はアメリカへ渡って英語学校に入学し、それからビジネスエクステンションという、ビジネスについて英語で学ぶプログラムに進みました。

最初の3ヶ月間のホームステイでは、英語が全くわからないため、空港到着からホームステイ先までの送迎を含め、留学エージェントにお願いしました。3ヶ月後には自分で住居を手配する必要があったため、住まい探しや学校の更新手続き等を全て自身でするよう自分に課しました。私自身、お尻に火が付かないと動かない性格なので、敢えて「退路を断った」形です。英語の聞き取りがなかなかできませんでしたが、街中で「ここに行くにはどうすればよいか」と道を聞きまくりました。いろいろな回答を耳にしているうちに、何となく聞き取れるようになりました。

 

Q.就職の経緯や理由を教えてください。

A.アメリカへ行って2ヶ月経った頃、ホームステイ先が一緒でMBAを取得しに来ていた先輩(メンター)から「一度就職したほうがいい」とアドバイスを受けたため、MOTのことは一度忘れて日本で就職することにしました。振り返ってみると、MBAにしろMOTにしろ、実地経験がない中での学問と実地経験があっての学問とでは全然違う、ということを伝えたかったのではないかと思います。若い私の逸る気持ちを制する意味合いもあったかもしれません。

アメリカで勉強をしながら、就活時に2度ほど日本に戻って来ました。すでに次年度の採用はどの企業も終了しており、日本とアメリカを行ったり来たりしながら、候補が少ない中でしたが何社かエントリーしました。しかし、日本滞在期間が2週間程度しかなく、面接日程に合わなかったり、最終面接に行っても就職したいと思える企業がなかったので、就職をじっくりやり直したほうがいいかな、と諦めかけていました。

その時にディーコープで事情をお話ししたところ、筆記試験や面接の日程を全て調整してくださる等、従来の企業と異なる風土があり、意思決定の速さ・見るべき素養を的確に見ていただけるところに魅力を感じ、就職しようと決心しました。

職業を選択したというよりも企業の文化風土に共感し、自分の能力を高められそうな点が、決定のポイントでした。

 

 

再び退路を断って起業

 

Q. 会社を設立したいと思うようになったのは、いつ・どんなきっかけですか。

A. ディーコープでは営業職をしていました。コンサルティングに近いサービスでしたので、お客様に提案し合意を得る仕事です。そこにいればそのまま勤め上げられる環境でしたが、優秀な上司の下でその人に言われたことをやっている現状に、疑問を持ちました。会社にいるだけで、世の中の役に立っているだろうか? 自分が世の中に放り出されたときに、市場価値があるのだろうか? 独立したときに、自分を頼ってついて来てもらえるだろうか? 様々な疑問が浮かび、自分のキャリアや市場価値を作っていかなければならないと考えました。以前からいつかは独立したいと思っていましたので、再度「退路を断って」ディーコープを退職し、別の会社に勤務後、アドバンテージ・パートナーズ株式会社を設立しました。

 

Q.仕事をしていく上で、心掛けていることはありますか。また、楽しさややりがいを感じるのは、どんな時ですか。

A.若手時代は、新たな経験ができることがやりがいでした。

仕事をしていく上で心掛けているのは、サービス提供者としては、コンサルティングを生業としているため「顧客の期待値を1%でも超える」こと、経営者としては「少しでも関わった人を幸せにしたい」と思っています。

コスト削減がメインですから、結果が出たときに「ありがとう」と言われるのがいちばん嬉しいです。また、私が専門としている間接材領域以外のことで頼られることがあります。例えば、製造業の顧客から「物流業務が非効率なのでなんとかしたい」と相談を受けたことがありました。「この人に相談したら解決してくれるのでは?」と信頼してもらえるのだとしたら、こんな嬉しいことはありません。

 

Q.仕事における今後の抱負(やりたいこと)や、将来の展望を教えてください。

A.学生時代に少しでも「働くこととは何か」「自分のライフプランを考えどう価値を高めていくのか」という知識があれば、もっと最短で自分の価値とやりたいことを実現できたと感じています。

ですので、これからの社会を作っていく人に少しでもそれを伝えられる仕事ができたらと思います。

 

アドバンテージ・パートナーズ株式会社のオフィスにて

 

 

学生時代にライフプランを作ることが大切

 

Q.学生時代について教えてください。学生時代に印象に残っていることや、力になったことはありますか。

A.分子生物学研究室(旧武藤研究室)での厳しさが印象に残っており、研究で英語の論文を読まなければならなかったのは辛かったです。また、学部を越えた受講が単位認定される制度は、非常にありがたかったです。教養講座の際に受講した経営学(本業の生物学ではなく!)が面白いと思い、当日の担当教官に相談して、経営学の講座及びゼミに参加させていただきました。内容はもう覚えていませんが、学ぶことそのものが楽しかったです。

 

Q.学生時代に現在の仕事に繋がるような活動をしましたか。また、特に首都圏での就職を希望する場合、学生時代にやっておいた方が良いことはありますか。

A.普通の就職活動を経験していないので、現在の仕事に繋がるような活動は特にありません。自分はどうなりたいのかライフプランを先に作って就活に臨むと、漠然とエントリーシートを出すのと違って、ある程度対象が絞れると思います。

ライフプランを作るには、第一に、夢は何なのか、自分の人生をどうしたいのかを考えます。第二に、それを実現するためにはどうすればよいか、情報収集です。そして第三に、知っていそうな誰かに聞いてみることです。指導教員でもいいし、就職のアドバイザーや両親でもいいでしょう。インターネットにもライフプランの作り方は出ていますが、実際に人と会って話すのとは違いがあります。

 

Q.就職に関する情報の入手や、インターンシップの活用は、どのようにしたら良いでしょうか。

A.インターンシップは短い間ですが企業を知るのに良い機会ですので、是非ともやっておくべきだと思います。私の場合、まだインターンシップが単位認定される前で企業数も限定的でしたが、「世嬉の一(せきのいち)酒造」という地酒・地ビール蔵にお世話になりました。単純にお酒の作り方が学べるのが楽しかったですが、仕事体験ができるということはアルバイトでも可能なわけですから、将来この会社に就職したい、もしくはこの仕事はどんな仕事かわからないが選択肢となるだろうか、という視点で活用されるのがよろしいかと思います。

 

弘前大学の桜(2020年5月)。下山さんは小学6年生の時に弘前城の桜を
 見て、何となく「将来、この町で生活しているな」と思ったそうです。

 

 

就活では個の力をアピール

 

Q.弘前大学のような地方大学生が、首都圏での就職活動でアピールすべき点は?

A.大学のブランドというよりも自分が何をしてきたか、何をしたいのかという個の力のアピールをすべきです。

首都圏での弘大卒業生は希少性が高いです。社会人になって、大学時代から知り合いでない先輩にお会いしたのは1名のみです。その希少性ゆえに親近感は非常に高く、仕事上でも繋がりができるなどのメリットはありました。

 

Q.首都圏での生活について、負担や問題点はありますか。

A.最近はコロナ禍で通勤は人が少なくなっていると思いますので、昔ほどではないですが、電車でどこかに通うという経験がなかった私からすると、ラッシュアワーは死ぬほど嫌でした。降りたい駅で降りられないし、殺伐としているし。ですので時間的・体力的な面を考えれば、可能な限り職場から近い、もしくは乗車率の少ない路線周辺での生活を選択した方が良いでしょう。

 

Q.首都圏に就職して、良かったことは?

A.選択肢が多いことです。例えば自分のキャリアプランの中で合致する選択肢が地方に比べれば質も量も圧倒的ですし、実際に働いていても情報が入りやすい環境で、クリエイティブな仕事ができる環境ではあります。

ただ、情報の取得難易度での地方格差が小さくなっていることを考えると、ワークライフバランスの点から、必ずしも首都圏に住む必要性があるのかは疑問に思います。

 

 

在学生の皆さんへ

 

就職活動については、一般的な流れを経験したことがないのでアドバイスになるかどうかわかりませんが……。

「就職させてもらう」ではなく、対等な関係で「こちらも会社を見極める」という相互の相性確認の場が就活だと思います。当然、企業研究も重要ですが、「ここの企業から採用してもらうにはどうしたら良いだろう」ではなく、「ここの企業で仕事ができれば自分の能力はどう高まるのだろう」という視点で就活をされるのがよろしいのではないでしょうか。企業を見極めるためには、自分のキャリアプランを考えなければならないし、自分がどうなりたいのか、どんなポイントで企業を評価すべきかを考える必要があります。これからの時代は1社で終身勤め上げるのではなく、転職が当たり前で、自分の市場価値をどう上げていくかという視点で今後の人生を送っていただければと思います。

ライフプランの作り方がわからなかったら、私を訪ねて来てください!

 

(2020年11月取材)

 

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