kimura shun
木村 舜 さん
◊♦ Profile ♦◊
・青森県弘前市出身、青森県立弘前高等学校卒業
・2017年3月 弘前大学人文学部(現:人文社会科学部)現代社会課程国際社会コース卒業
・2017年4月 弘前市役所健康福祉部生活福祉課入庁
・2019年~現在 東京消防庁 蒲田消防署
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大学時代は、澤田真一先生のゼミに参加、軟式野球サークルに所属。弘前市役所で福祉行政に携わり、現在は、東京消防庁蒲田消防署で事業所への訓練指導や審査事務等の消防行政に携わられている。
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社会のための仕事
「準備8割」
-勤務先等の概要と、ご自身の現在の主な仕事内容を教えてください。
消防職員は、最初の半年間で全寮制の消防学校で新人研修を受け基本的な知識や技術を修得します。私の場合は8月からのスタートで、消防の知識に加え、放水訓練や要救助者検索訓練と初めての経験ばかりでした。団体行動が基本となる本職では規律遵守が求められ、大変厳しいものでしたが消防学校での経験を通して自分自身の成長にも繋がったように感じます。
その後、蒲田署の「ポンプ小隊」に配属され、火災現場や救急現場で活動しました。消防の世界では『準備8割』と言う言葉があります。各種訓練は元より、消防車や機材の一つ一つの作動確認を毎日行い、「いざ」という時に備えています。また、管轄地域の水利調査に出向き、消火栓の作動確認を行ったりもしています。こうした業務の傍ら、現場で先輩職員の動きに追いつけるよう自主訓練を行い筋力・体力を維持していくことも重要な業務のひとつでした。
現在は、予防課毎日勤務員として事業所に対する訓練指導や審査事務を中心に行っています。平日の日中時間帯に勤務していますが、月に数回は当直もあり、状況によっては現場への出動もありますので、現在でも日々の筋トレなど自主訓練は欠かせません。
-この職業を目指したのは、なぜですか。就職の経緯や理由を教えてください。
元々、社会のために仕事をしたいと考え、市役所に入庁しました。健康福祉課での業務経験で「いのち」と向き合う場面に遭遇し、より最前線で「いのちを守る」現場で働いてみたいと考えるようになりました。市役所での業務も充実していましたが、行政と公安の両面を知ることで視野が広がると思い転職してみました。
-仕事をしていく上で、心掛けていることはありますか。また、楽しさややりがいを感じるのは、どんな時ですか。
公務員という職業の特性上、とにかく接遇には気をつけています。相手の要望をすべて叶えることはなかなか難しいですが、それでも納得してもらえる部分を増やすことで都民の方々の信頼に応えていけるよう日々取り組んでいます。
現在は部隊としての活動はあまりしていませんが、その分、事業所への指導等で都民の方々と直接関われることに楽しさを感じます。特に幼稚園や保育園に対する指導では、子どもたちの様子に触れる機会もあり、元気で素直な反応を見ると嬉しく思います。
-仕事における今後の抱負や将来の展望を教えてください。
消防行政は、仕事内容が多岐に渡り、各種法律も絡んでくるためアプローチが難しいです。まだまだ勉強中の身ですので、今後、より高度な事例や問題に対しても的確に対処出来るよう努力を重ねて仕事の幅を広げていきたいです。
-弘前大学を志望した理由は何ですか。
地元の国立総合大学ということで常に頭の中に選択肢として浮かんでいました。高校の先輩や同級生にも弘前大学を目指す人が多く、自然に志望校として選んでいました。
-学生時代に印象に残っていることや、力になったことがあったら教えてください。
ゼミの担当や先生や仲間が、みんな非常に柔軟な考えを持っていたことが印象的でした。今までの自分の考えが、いかに偏っていたか思い知らされましたし、異なる考えを取り込むことが、どれだけ自分を成長させるかを感じることが出来ました。
地元での経験を誇りに
-学生時代に現在の仕事に繋がるような活動をしましたか。また、特に青森県外での就職を希望する場合、学生時代にやっておいた方が良いことはありますか。
元々、公安職も就職先候補の一つでしたので、最低限の体力は必要と考えジムに通っていました。結果として、現在も趣味でジョギング等の運動を続けることになりました。
県外での就職を希望するのであれば、異なる文化を知るため大学で留学生の方々を含むいろいろな出身の友人を作ると良いと思います。
-就職に関する情報の入手や、インターンシップの活用は、どのようにしたらよいでしょうか。
インターンシップは、気になる企業の実情を知る貴重な機会ですので、どんどん活用していけば良いと思います。また、意外な人から思いがけない情報を得ることもあるため、インターンシップ先で知り合いを作ることも一つかと思います。
-なぜ地元から離れ、首都圏に転職しようと考えられたのでしょうか。
新しいもの・新しい人との出会いを求めて首都圏を希望しました。学生時代に協定校交換留学制度を利用してニュージーランドに行きましたが、この時もカルチャーショックを受けました。広い世界で視野を広げ、いろんなことを知りたいという思いが強かったため、首都圏を選択しました。
-公務員から公務員への転職での試験対策はどのようにされたのでしょうか。
東京消防庁は、筆記試験と論文試験、及び体力検査があります。市役所の仕事をしながらの受験でしたので、そこまで勉学に時間は割けませんでした。
しかし、実技で体力テストがあったことは、普段から体を動かす良いきっかけとなりました。ハードな体力テストを想像されるかもしれませんが、基礎体力検査程度のテストでした。
-弘前大学のような地方大学生が、青森県外での就職活動でアピールすべき点は?
地方ならではの特色をアピールポイントに出来れば強いかと思います。(豪雪地帯で育った。リンゴ畑の手伝いをしていた。ねぶたの魅力に気づいた等・・・)それをきっかけに興味を持ってくれることもあると思うので、田舎にいる経験自体を誇りに思えれば、意外と会話が盛り上がることもあります。
-青森県外での就職活動で苦労した点は何ですか
交通費がかさむため、夜行バスを活用していましたが、金曜の仕事終わりに夜行バスに乗り、土日で試験を受けて日曜の夜行バスに乗り、月曜の朝に青森に着いてそのまま仕事は、さすがに体力的に辛かったです。無理の無い範囲で目標は絞っていくべきだったかもしれません。
-青森県外での生活について、負担や問題点はありますか。
家賃は高めですが、スーパー等の物価はそれほど変わらないと思います。ほとんどの人は、大丈夫かと思いますが、自分は方言が強いので職場でも未だによくイジられますが、むしろ積極的に津軽弁をアピールしていることでコミュニケーションのきっかけになっています。
東京消防庁は、福利厚生が充実しています。消防学校卒業後、単身(独身)は、署近くの単身寮に入寮し、東京各所に家族寮も整備されているので、通勤で満員電車に悩まされることもありませんでした。
-青森県外に就職して、良かったことは?
特にうちの職場は、日本全国から様々なバックグラウンドの人が就職してくるので、今までに関わったことの無いような人と接することが出来ます。いろいろな意味で見識が広がったと思います。
間違ったと思ってもやり直しは思った以上に出来る
まずは今の自分を信じて
在学生の皆さんへ
遊びにしろ勉強にしろ自分のやりたいことを最優先して見聞を広めることが大事だと思います。東京に来ても青森に留まっても自分の判断が正しかったのか迷うことはあると思います。どちらにしても迷うなら、まずはやってみたいこと、行ってみたい場所を選択するのもいいかと思います。もし、間違ったとしても、思った以上にやり直しは出来ますので、まずは今の自分を信じて行動してみてください。
東京消防庁では、現在人員募集に力を入れており、志のある方の受験を歓迎しております。内外研修制度も充実しており、その業務は多岐に渡ります。様々な分野での研修にチャレンジして仕事を通じて自己研鑽を積むことも可能です。
興味のある方はぜひ東京消防庁HPをご覧下さい。
(2023年3月取材)